業種によってクチコミの“質”は変わる

クチコミ対応というと「誠実に謝ればいい」「テンプレで返信しておけば大丈夫」と思われがちですが、実は業種ごとに投稿されやすい内容や、顧客が重視するポイントはまったく異なります。

たとえば飲食店では「味」よりも「店員の態度」への不満が目立つ一方、クリニックでは「安心感」や「信頼性」が評価の軸になることが多く、求められる対応のトーンも変わってきます。

今回は、業種別に見たクチコミ投稿の特徴と、対応時に気をつけたいポイントを解説します。

飲食業界:味よりも接客への評価がカギ

飲食店のクチコミで特に多いのが、「店員の態度が悪かった」「注文を間違えられた」といった接客まわりの不満です。

もちろん料理の味や価格も評価されますが、“また行きたいかどうか”を決める決定打になるのは接客というケースが非常に多く見られます。

対応時のポイント

接客へのクレームには丁寧な共感表現が効果的

写真付きで炎上しやすいため、返信スピードも重要

誠実な対応で「忙しかったんだな」と理解してもらえることもある

美容・サロン業界:予約・仕上がり・相性が左右

美容室やエステなどでは、仕上がりへの満足度だけでなく、「予約の取りづらさ」「カウンセリングの丁寧さ」「担当者との相性」といった感覚的な部分がクチコミに反映されがちです。

対応時のポイント

投稿者の“感情”に寄り添う文面が大切

「ご期待に添えず申し訳ございませんでした」の一言だけで終わらせず、背景に理解を示す

SNS経由の拡散もあるため、返信内容は“読まれている前提”で書くこと

医療・クリニック:信頼性と清潔感が評価軸

医療機関では、「丁寧に説明してもらえたか」「安心して診察が受けられたか」といった信頼感や人柄の要素がクチコミに強く影響します。

また、受付スタッフの態度や院内の清潔さへの言及も目立ちます。

対応時のポイント

返信は誠実で落ち着いたトーンを意識

否定よりも「ご不安なお気持ちにさせてしまい、申し訳ありません」と感情に寄り添う

プライバシーに配慮し、具体的すぎる情報の開示は避ける

教育・習い事:子どもに関する内容は感情が強い

塾やピアノ教室、スポーツスクールなどでは、保護者からの投稿が中心となります。
特に子どもに関わることは感情が入りやすく、「我が子がどう扱われたか」という視点で書かれるケースが多いです。

対応時のポイント

感情的な内容でも真摯に受け止める姿勢が信頼につながる

担当者の名前が出ている場合は慎重に

直接のやり取りを望む場合は返信内で丁寧に案内する

通販・ECサイト:商品よりも配送・サポート対応に言及

EC業界では、クチコミの多くが「届くのが遅かった」「問い合わせへの返信が遅い」といった配送・対応スピードの問題です。
商品そのものよりも、サポート体験全体への印象が反映されがちです。

対応時のポイント

発送や連絡の遅れには、素早く誠意ある謝罪+原因の説明

テンプレ的な返信より、具体的に状況を説明することが信頼回復に繋がる

「確認中です」の段階でも、返信を入れることで無視の印象を避けられる

不動産・士業・BtoB:少数の声が全体に響く

BtoBや不動産、士業などでは、クチコミ数自体は少ないですが、その1件の影響力が非常に大きいのが特徴です。

契約前の信頼が重要になる業種では、1つの低評価が意思決定に直結することもあります。

対応時のポイント

長文でも構わないので丁寧な言葉づかいで説明する

事実誤認がある場合も、否定せずに正しい情報を穏やかに伝える

担当者名や契約内容の詳細には慎重になる(守秘義務や信頼感に関わる)

まとめ:業種ごとの特性を理解して、最適な返信を

クチコミは、ただ「謝っておけばOK」な時代ではありません。
業種によって顧客が何を重視し、どのように評価するかは大きく異なります。

飲食や美容なら“接客”や“感覚”

医療や教育なら“安心感”や“人としての信頼”

ECやBtoBなら“対応の速さ”や“正確さ”

それぞれの業界で投稿者が何を求めているのかを把握したうえで、伝えるべきこと・伝え方を調整していくことが、企業の信頼を守る最も有効な方法です。